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【前編】故郷タイの発展のため支配人に応募! 7年間で培った経験は今の事業につながっている

『Super Dream Project』は、独立・起業や店舗の開店など、さまざまな夢を叶えたい人を応援しています。
夢の実現では、夢を実現した数多くの卒業生を紹介してきました。
今回インタビューさせていただいたのは、タイにある故郷の発展のために起業する夢を持ち、スーパーホテルに挑戦されたN元支配人とM元副支配人です。
後編はこちら!

20代で支配人を7年間経験後、タイに渡って「SILK&HOPE」をオープン

NさんとMさんのこれまでの経歴についてご紹介します。

  • 2013年9月~2015年7月 スーパーホテル鳥取駅北口 着任
  • 2015年8月 スーパーホテル ロハス スイート バンコク
  • 2016年2月 スーパーホテル滋賀・草津国道1号沿 着任
  • 2020年2月 契約満了により卒業
  • 2021年4月 SILK&HOPE オープン

N元支配人とM元副支配人は、現在Mさんの故郷タイで起業し、自然由来の原材料と先祖の伝統的な知恵を継承し、環境にやさしい製品の製造に取り組むブランド「SILK&HOPE」という工房を開いています。
20代という若さでスーパーホテルに応募し、7年間で3店舗の支配人を経験されたお二人。
初めて着任した当時は、数字を追うことばかりに気を取られたりと苦い経験もされました。そんなお二人は、どのように7年間支配人として業務に取り組まれていたのでしょうか。
前編では、スーパーホテルに応募した経緯や、さまざまな経験や出会いから得られた思いについて語っていただきました。

www.sh-dream.jp

応募のきっかけは、タイにあるMさんの故郷の発展に貢献するため

――支配人にチャレンジしようと思ったきっかけは何ですか?
Nさん:
支配人に応募したのは、私が22歳、妻のMさんが25歳の時です。
Mさんとは大学が一緒だったんです。
出会った頃から「大学を卒業したら、一度は日本で就職するかもしれないけれど、私は国費留学生だからいつかはタイに戻ります。そして、故郷の村での発展に貢献することが私の使命です」ということを聞いていました。
そこで、いつか二人でタイに行くことを目指して就職活動して、お互い関東にある食品会社に入社しました。

入社して半年ぐらい経った頃に、この会社でどのくらい経験を積めるか、お金を貯められるかを踏まえて話し合ったところ、「このままではタイに行けないんじゃないか」という結論になったんです。
もし仮に、お金だけ無理やり貯めてとりあえずタイに行ったとしても、今の会社で働くだけではタイで事業をやっていくための実力が養えず、成功しないんじゃないかと。
この環境で、将来の展望を描くのは難しいと思いましたね。

まだ入社して間もなかったけれど、5年後Mさんが30代になるまでに、ある程度やっていける状態でタイに行くには、今から何か行動しなければと考えました。
いろいろと調べていた時に、スーパーホテルの支配人募集に出会ったんです。
それを見て私がインターネット経由で応募しました。

Mさん:
私は最初あやしいと思ったんですが(笑)、結果的に応募して良かったです!

接客経験ゼロの状態から支配人に挑戦

――始まる前に不安はありませんでしたか?
Nさん:
当時、私たちはそもそも社会経験自体も少なかったし、工場での勤務経験しかなくて、接客業とは全く無縁でした。
ホテルといえば接客業のトップじゃないですか。そんなわけで、二人とも緊張した状態でスーパーホテルに入りました。
私の場合、研修中に大変だったことは眠気ぐらいですかね(笑)。業務自体は、ワイワイ楽しくやっていました。研修ではとっても厳しく指導していただいたので(笑)、着任後は何とかなるだろうと思っていたんですけれど…。

Mさん:
私は、日本語でホテルの接客ができるのか?と不安しかありませんでした。
研修中は、日本語で感想文を書く機会がとても多くて大変でしたね。
それと、特に電話が怖くて、ホテルの電話が鳴ると「誰か電話に出てー!」って感じでした(笑)。

数字ばかり意識して、最初の半年間は失敗の連続だった…

――最初に着任した店舗での様子を聞かせてください。
Nさん:
スーパーホテル鳥取駅北口に着任した最初の半年間は、毎日のようにお客様に怒られて失敗の連続でした。
前任の支配人が接客点数が良くて、お客様からのアンケートも100枚以上もらっていたすごい方だったんです。
しかし、自分たちの着任後は評価がギュンと下がって、3ヶ月後にアンケート箱を回収したら3枚しか溜まっていませんでした。
口コミに書いてある内容も良くなかったですね。

アンケートは、ホテルの顧客満足度を図るために大切な指標です。スーパーホテルでも、アンケートでのお客様からのご意見は重視しています。

Nさん:
当時は、とにかく売上を絶対落としてはいけないと思って、数字ばかり意識していました。その結果、確かに売上は伸びたんです。
しかし、顧客満足度を犠牲にしたり、アルバイトスタッフを鬼のように働いてもらったりして…接客にも手が回らない状態で私も副支配人も疲労しながら働いていました。

Mさん:
それで、このままじゃ続かないねって話し合って、ようやく目覚めることができました。
数字のことばかりストイックに考えるのは一旦忘れて、接客を楽しもうと発想を切り替え、1から考え直すことで、安定するようになりました。

3店舗目は厳しい運営状況とオーナーによる目標設定からのスタート

――3店舗目のオーナーとの初対面について聞かせてください。
Nさん:
3店舗目のスーパーホテルFC滋賀・草津国道1号沿は、オープン1年目の新しいホテルでした。
ところが、朝食、設備、接客など、どの評価も低い数字だったんです。
フランチャイズオーナーさんと初めて会った時に、「僕は君のことを信用していない」と言われました。
続けて、「君は26歳(当時)だし、これから成長していくんだろうけど、今のホテルの状態で信用できるかといったら僕には無理だ。
初年度は1年契約で、その後の契約は一旦考えさせてくれ」とも。
初年度の売上が1億8,000万円しかなく、稼働率は79%ぐらいだったんです。
オーナーもこのホテルに投資して、ロイヤリティを支払ってギリギリだったこともあり、2億円の目標設定をされました。それをクリアできない場合は、今後の契約を考えさせてくれといわれて、そこからのスタートだったんです。
大きなプレッシャーを受けつつ、オーナーの信頼を得ることから動き出さないと始まらないので、なかなかシビアな出だしでしたね。

まずは、1ヶ月間みっちり草津エリアや周辺の滋賀・京都・奈良エリアを調べてレポートを書き、地域にまつわる事情を把握することにしたんです。
着任して3ヶ月ほど経った頃、オーナーが来られた時に、今後の経営方針などのレポートや4年計画を出して方向性を示しました。
それから、お客様からのアンケートや顧客満足度を見ていただいて、お客様からの喜びの声をオーナーに伝えました。

オーナーからの信頼を得るため、着実に結果を積み重ねていく

――オーナーさんからの信頼はどのように築いていきましたか?
Nさん:
最初の2年間は、オーナーから信頼を得るにはどうしたらいいのか、ということに重点を置きました。
そのうちご理解いただけるようになってきて、なぜオーナーが厳しいのかということを話してくれるようになったんです。
オーナーはホテル以外の事業もやっているので、売上については正直、本業があるから何とかなる。
それでも草津にホテルを建てたのは、オーナーの故郷である草津を発展させたい思いを持っているからだ、と教えてくれました。
最初はマンションを建てるつもりだったけれど、ホテルにしたのは県外からやってくる人たちに、草津エリアを楽しんでもらいたいからともおっしゃっていました。
だからこそ、オーナーは顧客満足度やお客様の声、地元の方がスーパーホテル草津店をどう思っているのか、ということがすごく気になっていたんです。

資金貯蓄を達成し、やれることをやりきって独立を決意

――卒業を決意した決め手について教えて下さい。
Nさん:
起業のための目標額が貯まったことと、年齢のこともあって契約を満了しました。草津店では4年かけて店舗と一緒に成長してきて、お客様もある程度ついてきてくれました。
ある意味、楽に運営できるようになってきたんです。
常連さんがたくさんいるので、それで予約も埋まるようになって、マーケティング面でもこれ以上努力できることはないと思えるくらい、やれることはやりきりました。

Mさん:
私はタイから奨学金を受けて日本に来た身なので、やはり国のために貢献したい。そのためには、そろそろ独立する時期だと思って決断しました。

最終日、アテンダントと常連さんによるサプライズが待っていた!

――支配人時代に印象的だった出来事を聞かせてください。
Nさん:
印象深い出来事は、やはり草津で迎えた最終日ですね。
日頃、アテンダントや清掃スタッフには結構厳しく指導していました。
普段、何気ない会話もするんですけど、理想を目指すためにスタッフには高い要求をしていたんです。

アテンダントスタッフとは、スーパーホテルのアルバイトスタッフのこと。支配人・副支配人の裁量で採用ができる、頼りになる存在です。 清掃は外部業者と提携しており、清掃スタッフはそちらの従業員であることがほとんどです。

Nさん:
中でも清掃スタッフは、日本語を勉強している最中の外国人の方が多かったです。
「このトイレのシミがダメだ」「やり直し」と注意した時、素直に「わかりました」って、すぐに実行してくれるんです。
最後まで辞めずについてきてくれたけど、恨まれているんじゃないだろうかと(笑)、内心どう思われているか気になっていたんです。

契約満了が近づいた頃、アテンダントみんなに言ったんです。
「最後の日はオーナーさんにも許可をもらったから、ご飯も用意してあるし、最後に出勤できる人はぜひ来てください」と。
いざ最終日を迎えたら、元々その日にシフトのある人しか出勤してくれなかったんですよ。
それ以外の人たちには、「予定がある」「空いてない」と言われてしまって。
あー、これはダメなパターンだなって思いましたよ。
最終日の仕事も普通に終わってしまいましたし。

Mさん:
こんな終わり方で良かったのかな…って思っていたら、閉店時間の間際、予定があるって言ってたはずのアテンダントたちが花束を持って全員揃ってきてくれたんです!
すごいサプライズでしたね。
お風呂上がりに通りすがった常連のお客様たちも来てくれて、朝食コーナーでみんな一緒に輪になって踊りました(笑)。 
清掃スタッフの人たちも来てくれて「支配人たちはいつまで日本にいるの?」なんて聞いてくれて。
その後、お別れ会もやってくれたんですよ。

Nさん:
2年目ぐらいの時に、清掃会社の社長から「要求が多すぎて、このままじゃやっていけない。もう別の清掃会社に代えてくれ」と言われたこともありました。
自分たちと清掃会社の社長、そしてオーナーも交えて、具体的に何がダメなのか、自分たちが求めるサービスをどう提供するかということなど、腹を割って話し合いました。みんなが納得できる形になるよう、もう一度何とか頑張ってみようということで、清掃会社の社長さんが残る決断をしてくれたんです。
そんなわけで、最終日にアテンダントや清掃スタッフ、お客様が集まってくれるとは思わなかったので、すごく印象深い出来事になりましたね。

Mさん:
最終日には、お客様から花束をもらったり手紙が届いたりしました。
予定はないけど、私たちを見送るために泊まりに来てくれたお客様もいたんですよ。
オーナーは、厳しいけれど理不尽なことはなくて優しい人でした。
私たちが辞める時も泣いてくれたんです。
最後は、「本当は契約満了したくなかったけど、君たちにやるべきことがあるなら止めない」って言ってくれて、とても嬉しかったです。
私は、研修の時に種をまいたことが、1店舗目、2店舗目を経て、ちょっとずつ成長していき、3店舗目である草津で、ようやく花が咲いたのかなってイメージを持っています。
草津だけが良かったのではなくて、過去の経験があってこそだと思っているんですよ。

お客様は私たちと同じ人間だと思って接することが良かった

――スーパーホテルで得られたことを教えてください。
Nさん:
接客ができるようになったり、数字が読めるようになったりとかいろいろあるんですけど、自然体でいることが一番だとわかりました。自由気ままに、楽に…ということではなく、自分たちが感じたこと、こうしなきゃいけないと思ったことをしっかり行動に移して形にすることなんです。
お客様相手だったら、言葉にして動くことが大事。
それを表現することが、スーパーホテルの7年間で得られたことではないかなと思います。
最初、お客様やスタッフ、オーナーに対して、何も考えていなかったからダメだったんだなと、今ならわかります。
良いことであっても悪いことであっても、思ったことを我慢して言わずにいたんですね。

私たちが出会ったお客様もスタッフも、それぞれ背負っているストーリーがあって、スーパーホテルに集まってきているんです。
例えばフロントスタッフの場合、なぜわざわざ大変なホテル業界を選んで足を踏み入れたのか、ということをしっかり聞いてあげて、指導しなければいけませんでした。
同じことを注意するにしても、その子に合う言葉を探して伝えることが必要だとわかりました。
お客様もビジネスや観光、里帰りなど、さまざまな事情があって、このホテルのエントランスをくぐり、私たちと顔を合わせるんです。
そのストーリーは、表情や服装、歩き方、雰囲気、話し方など全てに表れるんですよ。私たちはその様子をきちんと受け取ることがとても大事なんです。
このお客様はお疲れなんだな、どうすれば楽になれるのかなと考えたときに、ちょっと枕を持って行ってあげようとか、パジャマを選ぶのが大変だろうから取ってあげてエレベーター内で渡してあげようとか、そういったことが躊躇なくできるようになりました。
相手が何を思っているのか、感じているのかを気づいて、提供していくということ。
スーパーホテルで培った7年間の経験は、今の事業につながっています。

Mさん:
今、振り返ってみて思うことは、3店舗目である草津店の接客は、それ以前の店舗よりもスムーズだったんです。
最初は、日本語もそうですけど、言葉の選び方や接し方、相手の心を読む力などが足りていなかったんですね。ちょっとしたことでもクレームになってしまって。
草津店に来てから、大きな失敗をしてもクレームにつながらなかったのは、お客様の人柄もあるかもしれませんけど、自分にも大きな原因があったのだなと思いました。
いつも店舗に来られる本部の人にも言うんですけどね、私は「お客様は神様じゃない」とずっと言っています。
「お客様は私たちと同じ人間だ」と、そう心がけて接してきたのが良かったのかなと。
お客様だからって、変にお世辞を言ったことはありません。
もちろん、心から褒めたいときにはきちんとお伝えします。
そうやって、普通に人間と人間がするべきことをやってきました。
そのやり方が伝わったのかなと思います。
草津では、お菓子がいつも食べ切れないぐらいあって、途切れたことがなかったんですよ。
それは、お客様がわざわざ私たちのためにお金を出してお菓子を買い、手荷物になるのに新幹線に乗って持ってきてくれるからなんです。
その気持ちがすごく嬉しかったですね。

お客様がスーパーホテルを自分のホテルだと思っているように感じるんです。
印象的だったのが、お風呂にマスクを付けて入る人がいて、クレームを受けた時のことです。
私たちが対応すべきところなんですけど、お客さんがマスクを付けた人に注意してくれたんですよ。
「他のお客さんが見たら、草津店の印象が悪くなるから、俺が言うわ」って。
草津店を自分の店舗のように思ってくれて、お客様に助けられていると実感しました。
欲張りだから、今でもフロントに立ちたいな、お見送りがしたいなって思う時があるくらいです(笑)。

卒業後のエピソードは後編にて!

20代で支配人にチャレンジし、数々の経験や出会いを積み重ね7年間勤め上げたNさんとMさん。
苦労の絶えないエピソードがありながらも、自然体で人と接することの大切さを語っていただいたのが印象的でした。
支配人を卒業したNさんとMさんは、その後タイに渡って起業し「SILK&HOPE」をオープンさせます。
スーパーホテルでの経験が、タイではどのように生きてくるのでしょうか?
詳しくは、後編をご覧ください!